セミナーハウス(その5)

そして食堂のある本館に向かう。楔を大地に打ち込んだような本館の外観は何度見ても安定しない。

少し遠回りの道を選んで二階から入ることにした。食堂は三階にあり、昼食はどの団体も12時からの1時間と決まっている。館に入ると既にソファーに座っていた関さんから、「お客さんです。」とさっきの青年を紹介された。青年は「先生、覚えていますか。」と訊くので、「ええと。」と首を傾げる。青年は「・・・」会話は難しい。間を間違えるとすべてが終わってしまう。すると彼はS本です、と言った。頭の中がぐるぐる回り彼に関するすべての回路が繋がった。S本良太だ。「はい。」さっきすれ違ったときの声も繋がった。

関さんは学年主任で、生徒たちの3年間に数回実施した大学セミナーハウスでの学習合宿は我々ですべて引率した。関さんは若いときに東京の私立高校で教員をしその後長野県に戻って教員を続けた。奥さん(実家が新宿区)の家まで毎年運転していくといっていた。給料の多くを本につぎ込むほどの読書家、勉強家である。すべて英語の本であるが。

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