彼は自己紹介をしながら彼の研究(錯体がどうのこうの)や思いを生徒に話す。俺はまだ駆け出しのぺーぺーなんだけど、資源のない日本が欧米の先進国と闘っていくには、国の研究力が大きな資源であるというようなことを言っていた。そしてその研究力を身につけそれを発揮するには東京大学はとても良い環境であるから是非来てほしいと言っていた。また、同じ空間を過ごした昔の学習合宿の思い出話をしてくれた。黒姫では、夜10時過ぎから数英国のテストが一日の締め括りにあり、遅い時間のテストは結構きつかったという。その後2時過ぎまで採点していた僕らも大変だった。そういえば、当時都立大学総長の荻上紘一さんに黒姫の合宿で講演していただいたことを思い出した。野球部の小原君をはじめ多くの生徒は講演中に疲れて寝ていたので先生には誠に申し訳なかった。その荻上先生は今はセミナーハウスの館長としてここに居る。大学評価・学位授与機構(各大学の学長、総長の集団)の教授でもあった。S市の尾玉町に住んでいる植原さんと報道写真家石川文洋さんの友人でもある。世間の狭さをより感じる。さて、生徒達に目を向けるとすべてが彼の話に夢中になっている。年の近い青年の日本をしょって立つような話に聞き入っているのだ。Z会の添削を3年間やったが出せなかったことが多くて親に金銭の負担を掛け申し訳なかった。など当時の彼の学習法を有りの儘に話していた。そういえば、彼の問題集は何回も解いた跡があり、解けた問題には斜線が、解けなかった問題は番号に丸がしてあった。テストが近づくと更にぐるぐると丸が目立っていた。くしゃくしゃの青チャートも時々出して読んでいた。
セミナーハウス(その10)

