部屋に戻る者、残って余韻を楽しむ者がいる中、部屋へ移るように促した。部屋といってもそれぞれの建物がぽつんぽつんと離れて建っている。30分ほどしてから、関さんと貸し切りの長期館を尋ねた。長期館はそれ自体が小さなセミナー室をもっていて、3人掛けの机が8個、口の字に並んでいる。その館の多くの生徒達がそこで勉強していた。(もう0時を過ぎている)先程までとの違いは、数人ずつ固まって喋りながら勉強していた。真夜中に菓子を食べているものが結構いた。暫くして我々は男子の宿泊棟国際館を見回り、(男子は蛍光灯と個人机で一人一人黙々と勉強していた)さくら館に戻った。翌日様子を訊くと、我々が見回った後、比較的すぐに寝たということであった。翌春、窓が一つもないピラミッド型の中央セミナー室で再び学習することになるとはこのとき誰も知らなかった。
都庁展望台は20:30のエレベーターが最終であった。ホテルでの夕食後、関さんと夜景を見に出かけることにした。午前中は一橋大(文系)、農工大(理系)の見学、午後は東大本郷キャンパスをA君とO君にゆっくりと案内してもらった。確か二人とも剣道部であった。鬱蒼とした森に囲まれた夏目漱石の三四郎池、歴史のある図書館など一通り廻って自由時間をとり、夕方、安田講堂近くの芝生で、A君が生徒たちに話をしてくれた。抜群の天気も後押ししてくれた。こんなにいい時間がもてるならもっとゆっくりしたかった。相変わらず年の近い大学生の話はしっかりと聞く奴らだ。(二人に感謝)ホテルへの移動のバスの中、とても充実した一日だったと生徒達の顔に書いてある。そして本日の予定がほぼ終わりかけていた。ホテルで勉強するもの、都庁に見学に行くものと分かれた。都庁まで10分程歩いて展望台に上ると、360度の夜景がとてもきれいだった。思ったより広い空間とそれに見合った人の数、そこに知ってる顔が、向こうにも、こっちにも、目算で10対1、展望台に軍配が上がった。大学見学で刺激を受けたのか、近くにいたMさんが、「私必ずここに戻ってくる。」と夜景をバックに友人に誓っていた。(そうか、都庁がそんなに気に入ったのか)翌日は、駿台御茶ノ水3号館で講演を聴き、午後からのセミナーハウスの学習に気合いを入れる算段であった。実は直前に講師の吉井さんから電話があり、講演対象者が全員東大志望の生徒さんということでよろしいでしょうか。「いや、あの」(この人侮れないぞ)それでは、東工大、一橋大くらいで。(おいおい)「えーと」、それでは、難関大学全般ということで。「ん、あ、じゃあそれでお願いします。」(皆さん難関大受けるのかしら?)といった遣り取りがあったことを知っている者はいない。御茶ノ水に9:30集合とし、各自でホテルから新宿駅西口まで30分程歩き目的地まで勝手に行くことになっていた。

